オオカミ社長は恋で乱れる
「イケメンで優しくて子供達にも同じように優しくしてくれる人に惚れられたら、そりゃ〜綺麗になるわね。でもやっぱり綺麗になるって事は、清水さんも恋してるからこそだね!よかったね、本当に」

「ありがとうございます」

森田さんの言葉に嬉しさと恥ずかしさが混ざり、また顔に熱が上がって俯きがちになってしまったけど、感謝の気持ちは伝えたかった。

加藤さんも佐々木さんも同じように「よかったね」と微笑んでくれる優しさは、恋愛をすることの喜びの一つだと久しぶりに思い出した。

学生の頃は友達とお互いの恋バナをキャッキャしながらよくしていたけれど、妊娠してシングルマザーとして生きていくと決めてから私には恋も愛も縁が無くなってしまった。

もちろん悠と凛からは母として愛されている。

でも女として愛されることから縁を無くして、もう誰かを好きになる事も、好きになって貰える 
こともないと思っていたから。

だからこそ今、西条さんが好きだと言ってくれている事が自分でも不思議な感じがする。

西条さんのように立派な立場な人でイケメンで優しくて、周りにはいくらでも西条さんの隣に並んで歩いてもつりあう女性はいるはずなのに。

どうして私なんて・・・と何度も何度も考えてしまったけど、同じくらい何度も「好きだ」といってくれるから私の不安は小さくなる。

悠や凛のように無邪気に西条さんを求められることができたらって羨ましくなる時があるけれど、そこまで踏み込めないいろんな気持ちの私がいる。

 ーいつか私の前からいなくなってしまったらー

そんな風に怖くなる気持ちも正直ある。

それでも私の心は西条さんを求めている。

西条さんが好き。

西条さん・・・会いたい。

昼休みも終わって午後の診療が始まっても、恋バナから恋愛脳になってしまった私は、ついつい西条さんのことが何度も頭に浮かんでしまった。
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