2度目の初恋も、君とがいい
「嫉妬だよ」


あと数ミリのとこで永人の唇は動いた。



──ドキンッ



〝好き〟とか言われたわけじゃない。
でもどの告白よりもドキドキする気がして。



「……っ」



永人の言葉には何も返せなかった。



「ばか……」



あたしが停止してるうちに、いつの間にか保健室のドアを開けてる背中。

その背中に小さく呟く。



「はやくしろよ」



聞こえたのか、聞こえてないのか。
わからないけど。

振り向いた永人の顔は笑顔だった。



「試合、だね」



いつかききたい。
〝嫉妬だよ〟の真意。

いまはいいんだ。
こうして、永人の近くにいられるならそれでいいの。

でも、確信したことはひとつ。
あたしは永人のことをやめられない。

今日もまた好きになる。


こうして、迎えた体育祭。
近くにあった永人の唇をおもいだし、散々だったのは言うまでもない。



「あーあ、また近くなっちゃった」


「とか言って、そう仕組んだくせに?気づいてたでしょ。明日汰も」



明日汰と日奈子がそう言ってたことはしらなかった。

< 162 / 235 >

この作品をシェア

pagetop