2度目の初恋も、君とがいい
「千花」



教室から出ようとした足を永人の声に止める。



「……え?」



呼び止められるなんて思ってなくて、ふいに振り向いてしまう。



「……っ」



振り向くと、いつの間にか永人がすぐ後ろにいたみたいで。
距離がぐっと近くなる。



「リボン」



自分の胸元を指さす。



「え?リボン?」



予想外の言葉に、理解ができなくて首を傾げる。



「ずれてる」



一歩、あたしに歩み寄ったかと思えば少し斜めになっていたらしいあたしのリボンに手をかける。



「あ……」



──ドクンッ



さっきより、近くなった距離に胸の高鳴りが止まらない。



「ほら、これで大丈夫」



あたしのリボンを本来あるべき位置に直してくれた、永人は満足そうに微笑む。



「あ、りがとう……」



ペコっと頭を下げたあと、すぐに背を向けて教室から飛び出す。



「なによもう……」



近くにあった永人の顔が頭から離れない。

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