極上社長と結婚恋愛
 

そう言って広い歩幅で歩いていく桜木さんを見送ってから、直哉さんのことを振り返った。

「直哉さん……! ブーケ褒めてもらいました!」

嬉しくて口を手で覆いながら言うと、整った顔をくしゃりと崩して直哉さんが笑う。

「よかったね。ウエディングブーケを作る仕事をするのは、あずさちゃんの憧れだったもんな」

その言葉に、ぶんぶんと首を縦に振ってうなずく。

いつかウエディングにかかわる仕事をしたい。小さなころからずっとそう思っていた。
でも、目の前の自分のするべきことを日々こなすので精いっぱいでどうしたら夢に近づけるのかなんてわからずにいたのに。

まるで奇跡が落ちてきたみたいな出来事に、嬉しくて泣きそうになっていると、直哉さんがぽんと頭をなでてくれた。

いつも私をはげましてくれるこの温かくて大きな手のひらが、大好きだと思った。




 
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