極上社長と結婚恋愛
 

豪華な白壁に両開きのフランス窓。繊細な細工が施されたテラスから続く石が埋め込まれたアプローチの両側には、青々と美しい芝生。アーチを描く丸天井のガラス張りの東屋に、咲き誇る花々。

美しい空間に、思わずため息を漏らす。

「素敵ですね」

街の喧騒から切り離された秘密めいたお庭に咲く花々はまるで、ひっそりとまどろみながら夢をみているみたいだ。

鉄製のアーチに沿って咲くオレンジのバラ。かすかに揺れる淡いライラック。夜露に濡れた鮮やかな紫のクレマチス。

暗闇の中で感覚がとぎすまされているせいか、花の色彩がいつもより鮮烈に胸に迫る。

桜木さんから連絡をもらってから、お店で仕事をしているときも、外を歩いているときも、テレビを見ているときも、ウエディングブーケのことで頭がいっぱいだった。

どうやったら綺麗に見えるか。どの組み合わせが美しいか。
なんて、花を使いアレンジすることばかり考えていたけれど、庭に咲いた花はそれだけで感動するほど美しい。

肩ひじ張って背伸びをする必要なんてない。素直にそう思えて肩から力が抜けた。

「少しは気分転換になった?」

直哉さんにそう笑いかけられ、私も微笑んで頭を下げる。



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