cafe レイン

「小野寺さんじゃないですか」


今日、私が残業することになった原因の丸山さんがそこに立っていた。


「ま、丸山さん」


思わず上擦った声が私から出る。だけど、そんな私に気付く様子もなく彼は話しかけてくる。


「仕事帰りですか?」

「はい、そうです」

「残業ですか、大変ですね」


そう言って、ニカっと笑顔を見せる彼にときめくのは仕方がないと思う。
だって、やっぱりカッコいい。身長高いなって思っていはいたけれど、隣に並ぶとよくわかる。自分の頭一つ分以上の身長差。
180センチ近くある彼は、遠くから見たらモデルに見えるのではないだろうか。


「丸山さんは?」

「あ、さっき店閉めて来たんで俺も仕事終わりですよ」

「そうだったんですね、お疲れ様です」


ぺこりと頭を下げながら言うと、彼もぺこりと頭を下げて笑った。
レインのロゴが入ったエプロンをしていない彼を見るのは初めてだった。
花さんがいたせいであまり彼を直視出来なかったからか、白いシャツにモスグリーンのエプロンしか記憶がなかったけれど。
白いシャツの上に黒い薄手のレザージャケットを羽織っている。

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