ハイスペック男子の憂鬱な恋愛事情
「この前初めて、しょうこちゃんから旦……と。彗大の会社のあのポンコツ上司?との情熱結婚の成れの果てを聞いて。
だから、順番的にも先にしょうこちゃんの幸せを見届けてからが間違いないと思って!」

あんのポンッコツ上司が……!!
どこまで俺のプランに食い込んでくるんだあの不良債権め……!!

つーか、旦那と言うワードをオーナーに禁止させられてるだろう時点で、土俵にすら立たせて貰ってないじゃねーかあのポンコツ!

馴れ初めじゃなく、成れの果てとか言ってる時点で、優李の情熱結婚?の評価もダダ下がり感ハンパねーし!

(多分、情熱結婚とは優李の造語で恋愛結婚より激しい意味合いだと解釈)


何より優李、この流れからのオーナーお先にどうぞのコースは、堅実であっても律儀とは絶対言わねーし。


先達に石橋叩き回ってもらって、それで渡れたらわたしも渡ろうかしらというゲスい計算が見える。

お前らしい、真っ黒な“漁夫の利”戦法だ。


「優李。……もし最終、オーナーがあのポンコツを選ばなかったら?」

「もちろん彗大が好きよ」

「じゃあ結婚は」

「んー保留?」

「……!!」

なんて淡々と冷酷非道なルールを強いてくるんだこの真っ黒女子め。

それでもこの先、手離せる選択肢がないと断言できるくらいにはどっぷりハマってるんだから、受け入れるしかない。


「彗大」

「なんだよ?」

ああ、仕方ない。完全な完敗だ。


「今度プロポーズする時は、もう絶対、映像、誰にも譲らないでね?」

「!!」


俺の振り回されっぱなしに始まった恋愛事情は、まだまだこれからも彼女主導で続くらしい。

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