battlers high

携帯を持つ手は緊張にも似た感覚で固まった。

エリィは電話で俺に何を話すつもりだったのか…

紛らわすようにメールの方をチェックする…

二件の迷惑メールと…

エリィから…

俺はそのメールを開く。

『今日ヒマ？』

たったそれだけが書かれていた。

俺は何かに突き動かされるように慌ててエリィに電話を掛けた。

呼び出し音がやたらと長く感じる。

「…もしもし…」

出た！

しかし声は小さく、いつもから想像できないほどか細くやつれた感じだった。

「どうした？」

俺の口から瞬時に出たのはこんな言葉だった。

「マッシュ…私…もうダメだ…。」

「…今は家にいるのか？」

「…うん…。」

「とりあえず行くから待ってろ！」

俺は電話を切って適当な服に着替えて家を飛び出し、エリィの家に向かった。

きっとあの雑誌を見たんだろう。

いや、エリィが抜け殻みたいになっちまうぐらいだからもっと進んでるかもしれない。

俺はとにかく急いだ。

エリィの家の前につき、チャイムを鳴らす。

こんなに全力で走ったのは久しぶりだったせいか、足が震えている。

「エリィ！」

ドアをノックする。

すると、ドアがゆっくり開きエリィが顔を出した。

「マッシュ…」

「エリィ…あの雑誌…」

俺が雑誌の事を切り出した瞬間、エリィは俺の胸にもたれ掛かってつぶやいた。

「…別れた…。」

「…え？」

「…朝、メールが来て、『ごめん、別れよう』って…。」

エリィがこの前のように泣き崩れるんじゃないかと思った俺は、

「とりあえず中に入ろう…」

と、エリィの部屋に上がりエリィをベッドの上に座らせた。

「…エリィはあの記事見たの？」

俺は黙って座るエリィに恐る恐る聞いた。

エリィは黙って頷いた。

「そうか…。」

しばらく沈黙が流れる。俺はエリィになにか言わなきゃと必死に言葉を探す。

すると、エリィがゆっくりと口を開いた。

「雑誌の事は…わかってたからそんなに気にならなかったし、正直…私は二番でもいいって…どこかで思ってた…。」