また見る窓辺
タイトル未編集
ある日の昼下がり


私はいつもお世話になっている定食屋で日替わり定食のサイドメニューのおでんをつつきながら、ぼーっと店の外を見た。

中学生だろうか、
学生の行列が楽しそうに店の外を歩いている。


店主のおばさんはその光景を、目を細めながら見ていた。

「修学旅行生ね。秋だからかしら、最近増えてきたのよね〜。」


「へぇ〜。修学旅行かぁ。若いですね〜」


私の言葉におばさんは小さく微笑む。

「あら、雫ちゃんも若いじゃない。
中学生時代なんて、ついこの間卒業したようなものでしょう?」

おばさんの言葉に私も目を細めながら答えた。

「気持ちはね〜。
人生なんて、あっという間ですよ。
私もね、この間中学に入学したと思ったら卒業して、高校入って、卒業して、仕事始めて…気づいたら23ですよ。」

「あら、まるでおばさんの言うことね。言葉に還暦を感じるわー」

「ふふ、そうでしょう、自分でも思うんです。」


おばさんと小さく笑いあって、また店の外に目を向ける。


もう通り過ぎたのだろう。学生達もいつの間にかいなくなり、
さっきみた景色よりも、夕焼けの色が濃くなっていた。


なぜか、胸が締め付けられる。

秋だから…?季節のせいもあるのだろうか。
それとも最近修学旅行生をよく見かけるからだろうか。

とても学生時代が懐かしくて、
楽しそうに歩いている学生を見るとキラキラしていて…。

あんな青春、また送りたいなぁ。なんて。

別に今の生活に大きな不満があるわけでもないけれど、
昔みたいに楽しいこともない。

今の私は夢も向上心もない。

仕事ばっかりの生活。
疲れるばかりだ。

でもそれはきっと無い物ねだりなんだろうなぁ、とは思うけど
もう一度、あの時代へ戻ってみたいと思ってしまう。

きっと、社会人になった今でも、学生気分が抜けてないんだろう。



「学生か…いいなぁ。」


私は、食べかけのおでんをまたつつきはじめた。
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