【完】姐さん!!
もう相手にしてもらえそうにないな、と。
スマホへともどされる衣沙の視線を見て、小さなため息をこぼす。
それから、黒いソファの上で身を丸めた。
言っておくけれどここは一応、学校の中だ。
学校の中の、空き教室。
県内でも有名な不良校。とはいえ不良が多く通っているだけで、別に学校で問題が多発するとかそういうことではない。
「下着見えそうだよ、なるちゃん」
「大丈夫、心が綺麗な人にしか見えない」
「どこぞの王様みたいなこと言うじゃねえの」
あんたは心綺麗じゃないから大丈夫だよ。
……逆に言えば、見えたってなにも起こらない相手という信頼の証だけど。
「飽きるほど見てるでしょ、女の子の下着ぐらい」
「まるで俺が女子の下着マニアみたいな発言するのやめてもらっていいかな、なるちゃん。
もしかして俺、なるちゃんの脳内では犯罪者みたく扱われてんの?」
「毎日女の子とぱーりーないとしてるくせに」
「なんで途中で素晴らしく棒読みになった?」
うん、今日もくだらない会話だ。
数年前はわたしだって、女子中高生というブランドを全力で謳歌してキラキラの青春を過ごすはずだった。
大抵の女子なら、一度は夢見るその光景。
まあその夢はあっけなく散ったんだけどね。
高校生どころか中学生のときに散ったんだけどね。