風の歌

再び歩き出す3人。


私、頭おかしくなったのかな?


『おかしくなってないぞ』


―――!!?


ばっ!!と辺りを見回す海里。
急な行動に驚く陸と風歌。


この声は、ヴァンナー!?


「海里!?」


「あっ…ごめん何でもない……」


何なの?何でまた声が…?


速歩きする海里。

そんな海里を見て顔を見合わせる2人。


『驚いたか?ごめん』

「…やっぱりあなた達は夢じゃないのね?」


小声で言う。



『ああ』

「私にしかあなた達の声は聞こえないの?」

『今の時点ではな』

「何で私にしか聞こえないの?私は皆とどこか違うの?」

『いいえ。いたって普通の人間よ』

「じゃああなた達は幽霊?」

『違うって…。まぁ、混乱するのも無理はないか』

『安心して、海里。もうすぐ本当の私達に会えるわ』


本当の2人に?


「もうすぐって、あなた達どこにいるの?」

『どこって‥ここだけど』


ここ?




海里の目の前にあるのは―−−


「学校じゃない!!!」



「何言ってるの海里!?やっぱり何か変だよ!」



風歌が海里の腕を引っ張った。


「―………」


風歌をじっと見る海里。


「…うん……そうだね…私、今日変みたい」

「海里?」



心配そうな顔をしている陸。



メルフェンサーとヴァンナーが学校に?意味がわからないんだけど…


すると、校庭の奥の方で黒服の人達が何か作業をしているのが見えた。

その回りに、数人の先生が生徒達が近付かないように立っている。


「なにやってるんだあれ…」




−−ドクン







海里の中で何かがはじけた音がした。


「呼んでる…」

「あっ!海里!?」


海里は2人の声に反応せず、真っ直ぐ歩き出した。


黒服の男達のもとへと―





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