風の歌

=喧嘩するほど仲が良い?=

ガサガサガサッ
ビリッビリビリビリ
ガサガサッ
ビリビリビリ………


紙を裂く音が繰り返される。




「…あのぉ〜?四季さん?」


ビリビリビリ…


「四季さぁ〜〜〜ん?もしも〜し」


ビリビリビリビリビリビリ…


「四季さんてばぁ〜〜〜!」


ビリビリビリ…

無視を続ける四季。
左横には無数の紙の残骸の山が2つできている。


「四季さん!」


無視に耐え切れなくなった空は、背後から四季に抱き着いた。
その瞬間、左頬に強烈なビンタをくらい後ろに倒れ込んだ。


「触るなてめぇ…あとさんづけで呼ぶなキモイ…」

「ひ…酷いよ四季!口調も酷くなっちゃってるよ!」

赤くなった頬を押さえ、悲しそうに四季を見た。


「…」


プイッと顔を反らす。

「……やっぱり怒ってるんだね…」

「当たり前でしょ!私は何度も反対したじゃない!」

「うん…だけど今回ばかりは四季と星の意見はのめない」

「………」

「うっ…」


睨まれる空。たじろぐ。


「風の国なんか信用ならないわ…」

「…四季、反対する理由って風の国が昔に行ったこと関連で信用ならないからなのかい?」

「…そうよ」

「四季が昔風の国に直接何かされたとかじゃなくて?」

「………そういう訳じゃないけど…」

「本当に?」

「、本当よ!」


空に背を向ける。


「……四季、僕は人が嫌がる事はなるべく聞かないようにしてるんだけど…………それ、嘘じゃない?」


ピクッと反応する四季。


「四季も星も…ちゃんとした理由があるんだよね?……風の国を怨むというか、嫌がる理由っていうのが」

「…」

「ちゃんと話してくれてたなら、考えが変わってたかもしれないのに…」
「空ぁ〜!」


勢いよく、月と月に腕を引っ張られた陽が研究室に入って来た。


「………あ、なんか邪魔しちゃいけない雰囲気?」


ごめんなさいと言い、2人は部屋を出て行こうとした。


「大丈夫だよ、月。用件は何かな?」


なるべく笑顔で言う空。




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