風の歌
「馬鹿は黙ってろ」

「馬鹿じゃないっつってんだろ」

「お前ホントは男だろ。汚い言葉遣いだな」

「仏頂面に言われたくないね。あんただって汚いだろが」



…残念ながら、既に喧嘩は始まっていた。



陸と風歌はひたすら苦笑いをしたまま何も言わずに2人の喧嘩を見ている。



「マジでウザイな男女。少し黙れ」

「私は女だボケ。そっちが黙れば?」

「…ヘリから降りろ」

「お前が降りろ」

「俺は任務あるからお前が降りろ」

「私だって任務あるし」

「1人いなくなったって平気だ」

「じゃああんだがいなくなれば?」



さっきからずっとこの調子である。
陸はもう喧嘩を止める気がないようだ。



「あと約1日この状態とか、勘弁してくれ…」



呟く陸を見て、風歌も軽く頷きため息を漏らした。





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