切ない春も、君となら。
輝く春

二学期が始まると、すぐに体育祭が行なわれた。
総介君の転校先の高校では体育祭そのものがないらしく、羨ましいというメッセージが送られてきた。私は運動が苦手だから、体育祭がない方が羨ましいという返信を送った。


十月には文化祭があって、クラスでお化け屋敷を作った。
杏ちゃんが全力で基紀君を驚かしたら、彼はびっくりしすぎて足を滑らせて軽い捻挫をした。
その話をしたら「相変わらずだなぁ、あの二人は」って電話越しに笑っていた。



メッセージの交換はたくさんした。


【初雪が降ったよ。今年も早いなぁ。東京はこっちよりも暖かい?】


【暖かいな。雪は好きじゃないけど、今年は見られないかもって思ったらそれはそれでちょっと寂しい】


【じゃあ、雪の写真送るね】


雪が積もって一面が白くなった校庭の写真をメッセージに添えた。


たわいもない会話だけど、どんなに些細なことでもこうしてメッセージ交換をすることで、随分寂しさは軽減されていた。



新年を迎えた頃、私は彼にとある報告をした。


【両親が、最近私とよく話してくれる】


黒髪に戻し、派手な格好を一切やめた私と、両親はもう一度向き合ってくれるようになった。
そもそも私がどうしてあんな格好をしていたのかはまだ話せていないけど、いつか本当のことを全て話したいと思う。

それを伝えると、彼からは【良かったな】という返信が届く。
短くて、一見素っ気ない返事だけど、きっと喜んでくれてる、そう思った。
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