孤独な死神
少年は1人になりたいといって部屋を抜け出した。走って走って走って走った。親戚たちと同じ場にいたくなかった。大人と同じ空気を吸いたくなかった。
部屋に着いて少年は鍵をかけた。まるで外の世界から自分を閉ざすように。



少年は泣いた。泣いて泣いて泣いて泣いて泣いて泣いた。

少年は絶望に駆られながらまた、孤独を感じながら泣いた。

部屋に少年の泣き声だけが響く。それは独りきりを意味した。
少年は理解した。少年は独りきりだということを。たった一つの大切な家族を亡くした今少年は、独りきりになってしまったと。

少年は天才だった。それは頭脳においても、武においても。

天才故に独りだった。
皆口々に少年を天才だと称えた。
少年は嬉しくなかった。
天才故の孤独感はいつも消えなかった。
そのたびに家族が少年を愛した。独りじゃないと気付かせてくれた。

その家族はもういない。少年は独りなのだ。


「こんな世界なら壊れてしまえばいいのに。」

その時少年の心は完全に壊れた。






「僕はただ愛して欲しかったのに」
< 2 / 20 >

この作品をシェア

pagetop