白狐様の秘密


琥珀くん曰く、今日は狐神様たちが集まって集会をする日だったらしい。
てことは、ここにいる人たちはみんな狐神様ってことだよね。


「咲羅」

「え、なに?」

「話を聞いていたか?」

「ご、ごめん…」


考え事してる間に話は進んでいたみたい。


「もう1度だけ言うぞ。」

「はい…。」

「改めて自己紹介をしよう。俺は光の神・大狐神の琥珀だ。狐神たちをまとめたり、あらゆるものの秩序を守ったりしている。」

「すごいっ…!」

「反対をする輩もいる。だから咲羅、これだけは注意しといてほしい。これから俺と一緒にいる以上危険がないとは言えない。絶対1人にならないで。咲羅のことは絶対に守るから。」

「うん。」


琥珀くんの瞳がかすかに揺れたような気がした。
その瞳に吸い込まれそうになったとき、琥珀くんの隣から咳払いが聞こえた。


「白、俺らの自己紹介終わってないんだけど。」

「あー、すまん。」


悪ぶれた様子もなく話す琥珀くんと迷惑そうな顔をしている黒川くん。
本当に仲がいいんだなあ。
でも2人をみていると安心する。


「黒から自己紹介を頼んでいいか。」


黒川くんはため息をつくと話し始めた。


「俺は夜の神、涼だ。とくに何もしてないけどな。それより月下、俺のことも下の名前で呼べよ。」

「とくにしてないんだ。…え?」

「え?じゃねーよ。呼べって言ってんだろ。わかったな。」

「う、うん。」

「はぁ〜…。涼、だろ?」

「りょ、涼…。」


涼は満足気な顔をして私を見てきた。
私も思わずその顔に微笑んだ。
すると、琥珀くんが私の肩を抱き寄せてきた。


「黒ばっか見てないで俺のことも見て?」


少し顔を傾ける仕草さえも妖艶で惹き付けられる。
私が琥珀くんに魅とれていると、綺麗な声が響いた。


「琥珀、自己紹介が進まないわよ?私からしてもよろしくて?」

「すまない。お願いするよ。」


澄んだ淡い青の髪をなびかせ微笑んだ。

エン
「初めまして咲羅ちゃん。私は水の神、艶。琥珀の補佐や海や川、水に関わる全ての秩序を守っているわ。」

「よ、よろしくお願いします!」


お辞儀をすると優しく微笑んでくれた。
その美しさは艶さんをより際どく魅せているみたい。
そこへ、すごい勢いで突進してくる2人の姿が見えた。


「へぇ〜、こんなのが姫様なんだねぇ。もっと美人さんかと思ってた。」

「こら、めい。あまりいじめちゃダメだよ?」


よく見ると2人とも顔がそっくりで声色もどことなく似ている。


「僕は雷の神で双子のらい。」

「同じくめいだよ。」


2人は挨拶を済ませるとさっそうとどこかへ行ってしまった。


「次は俺様だな!」


あまりの声の大きさに思わず耳を塞いでしまった。


「こら、烈火。咲羅がかわいそうだろ。もう少し声
のボリュームを下げろ。」

「おっと、これはすまねぇ。」


笑いながらも大きさはほとんど変わっていない。
声だけでなく体もものすごく大きな人だ。


「俺様は烈火!火の神だ!ちなみに俺様の仕事は悪 い奴らをぶっ飛ばすこと!はっはっはー!!」

陽気に笑っているのを見てたらつられて笑ってしまった。

「おっ!いい笑顔だ!お嬢ちゃん、なんか嫌なことあったらいつでもおいちゃんがぶっ飛ばしてあげるからな!!はっはっはっはっはっー!!」

「はい!ありがとうございます!」


皆、とってもいい人ばかり。
この日の集会は私を助けるために琥珀くんが、緊急招集をかけてくれたのだ。

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