名探偵の導き


壁にあった電気のスイッチを入れた。


眩しさに一瞬目を閉じかけたが、そこにあった凄惨な現場に眼球と目蓋が痙攣し、閉じたくても閉じられない。


胸にナイフが突き刺さった冬木が横たわり、血だまりが広がっていたのだ。


それはまるで僕の足を取る赤い底無し沼。


「私、捕まりたくないわ」


聖花の声がして振り返った。


繭玉のようなコートに滲む返り血。


「聖花! まさか君が……」


「名探偵さんに仕事を依頼したいの。私をどこかへ逃げさせて」


そう言った聖花の横顔にスポットライトが当たっているように見えた。


それは僕にではなく、常に犯人に当たっていたのだ。


「おまえには潜在能力がある」


母が亡くなった時、父が言った。


僕が殺人事件を呼び寄せ、導いてしまうのではないだろうか。だとしたら、僕のミステイクは名探偵になってしまった事。


「なあ、聖花。冬木を殺した理由を教えてくれないか」


「私にもわからないの」


母さん、僕、今すぐ母さんの所へ行ってもいいですか。僕の安っぽい脳はそう思いながら、赤い沼へと引き摺り込まれていった。ポケットのダイヤモンドと共に。




【*名探偵の導き*END】




< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:28

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

クリスマスイヴを後輩と

総文字数/4,421

恋愛(オフィスラブ)8ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
後藤未華子×高瀬柊司 後輩である彼を、私は誘えない。 2016年11月22日*完結* OZmall×Berry's Cafe プレミアムホテルSSコンテスト 参加作品 レビュー ありがとうございました 高山様 月乃ミラ様
重なり合う、ふたつの傷

総文字数/89,302

恋愛(純愛)209ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
『重なり合う、ふたつの傷』 子供の頃は泣けなかった でも今は泣ける あなたと出逢ったから その涙は希望の涙か それとも別れの涙か 今を生きている あなたへ贈ります 玉置梨織(たまきりお)15歳 天野蒼太(あまのそうた)15歳 神田ルミ(かんだるみ)15歳 桜井零士(さくらいれいじ)19歳 「オレ、好きだな、君の声。鼻にかかったじゃれた声」 コンプレックスだった自分の声を好きになった瞬間。 *2014年9月9日完結* どうぞよろしくお願いします レビュー ありがとうございました mira!様 高山様 さいマサ様 小田真紗美様 シュレディンガーの猫様 こみあな様
瀬名先輩は王子様

総文字数/3,420

恋愛(純愛)10ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
瀬名優人×小松結月 +友情出演 吉沢愛子 あの、国民的コーンスナックが 東京で買えなくなる。 残るは、あと一袋。 さてどうなる、 コーンスナックと恋の行方。 イケメンを超越した王子様。 私は瀬名先輩のことが、 好きで好きで、 どうしようもなくなりました。 2017年6月6日*完結* レビュー ありがとうございました 高山様 月乃ミラ様 小田真紗美様 英 蝶 眠様

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop