メトロの中は、近過ぎです!
メロン
何本目かのDVDを入れた後、少しウトウトしていたようだ。
オートロックの呼び出し音で現実に引き戻された。

「はい」
宅急便かと思って、低い返事をすると、
「…俺」
そこには見慣れた一人の青年。

一瞬で全身が強張った。

「開けろよ。大野だよ」

そのイライラした声に、思わず解錠のボタンを押す。

なんで?休みの日にどうしたんだろう?

時計を見ると8:15
休日の私にしたらかなり早朝だ。

ピンポーン

玄関のチャイムで更にドキドキが増す。

「どうしたんですか?」

ドア越しに返事をする。

「開けろよ」
「無理です」
「は?なんで?」
「だって…スッピンだし、パジャマ姿だし、髪もボサボサで…」
「そんなこといいから早く開けろ!」

脅すように言われ鍵に手を伸ばしたけど、まだ躊躇している私。

「メロンあるぞ」

そう言われて恐る恐るのぞき窓から見た。
そこには箱に入った高級マスクメロンがアップで見えた。

カチャ

鍵を開けてしまった。
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