メトロの中は、近過ぎです!
「大野君。一人暮らしだと大変でしょ?ちゃんと食べてる?」

そう言いながら麻紀さんは、きれいに片付けられた自分のデスクから大きな袋を取り出した。

「お弁当作ってきたの。一緒にどう?」

ニッコリと優しげな微笑みを作って、その袋を持って応接セットまで優雅に歩いて行った。

みんなが見ていることなど気にならないんだろうか?
それとも見られているのも分かった上での行動?

「あり合わせだから、たいした物はないけど…」

そう言って開かれたタッパーには色とりどりに詰められた美味しそうなおかずたち。

「うまそうですね」

森田さんがすぐに近付いていく。

「森田君もよかったらどうぞ。多めに作ったから」

ニッコリ笑った麻紀さん。
すでにそこは麻紀さんの部屋みたいになっていて、


いたたまれずにそっとバッグを持って私に用意された端の方の机から離れる。

隣の戸田君も静かに席を立った。
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