メトロの中は、近過ぎです!
気が付くと狭い部屋にいた。

天井にある蛍光管の電気が唯一の光源の、窓もない小さい部屋。

やけに静かでまるで音が消えた世界みたい。

私はどこにいるんだろう。

もしかしてここはあの世?

糊の効いた白いシーツから起き上がり横を向くと、ソファーに男の人が座っていた。

腕組みをして寝ている。

その横には四角い黒い鞄…


その瞬間、いろいろな事が頭に浮かんだ。

電車の中で倒れそうになって掴んだ鞄。
満員電車で通勤途中だったこと。
月曜日11時に取った前田ホームさんのアポ。

慌てて自分の鞄を引き寄せ、スマホを触った。

9:42

遅刻だ。
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