メトロの中は、近過ぎです!
TOP4と言っても課長以下8名の部署だから半数になる。
あ、大野さんが入ったから今は9名だ。

伊藤チーフがすぐにヒールを鳴らしながらミーティングルームに向かった。
南主任は立ち上がってはいるけど、少しパソコンを触ってからタブレットを持ってゆったりとミーティングルームに向かった。

下の階の川端主任と同期の南主任は、みんなから相当のキレものとよく言われている。
銀縁メガネで、見た目も悪くはないんだけど、時々見かけるニヤリと笑った顔は本当に恐ろしい。
間違いなくドSだと思う。

実際その仕事ぶりはすごい。
同時に何件ものことを処理できて、先のことも的確に読めて、スーパーサラリーマンって言っても過言じゃないと思う。
一つのことをやり出したら他のことがおろそかになる私からしたら、まさに神。

ミーティングルームでは、相変わらず北御門さんが前のめりで話している。
それに質問している伊藤チーフ。
あ、南主任が笑った。

ジッと見ていた私の背後に気配がして、振り向くと大野さんが戻ってきてた。

「なんかあった?」

大野さんも小声になってる。
その後ろから沙也香ちゃんも戻ってきてた。

「どうしたんですか?」

ミーティングルームのいつもと違う雰囲気に気が付いて、しばらくみんなで見ていた。

ようやくミーティングルームの扉が開くと、自然と課長のデスクの周りに集まるメンバー。

「あといないのは誰だ?」

課長が忙しなく聞いてくる。

「田中さんが戻ってません」

うちの課で唯一の既婚者の田中さんは、ポッチャリ体型でいつもニコニコ笑顔。
クライアントさんからの信頼も厚く、多くのクライアントさんを抱えている。
ただ、怒らせると1番怖い。
田中さんは一度言い出したら絶対に折れない。
あの北御門さんに「あいつにはかなわない」と言わせたくらいだ。

そんな個性的な3課を課長はよくまとめているなと思う。
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