メトロの中は、近過ぎです!
「いるぞ」

ミーティングルームから出てきたのは南主任。
眼鏡を外して目をこすりながらこちらに歩いてくる主任はすごく幼く見える。

「南です。そうですか。わかりました。みんなに伝えます。課長と北御門さんもゆっくりしてください」

南主任が受話器を置くのを待って近寄っていく、

「どうだったんですか?」
「合計1800㎡納品完了したそうだ」
「すごい!」
「いや、2000目標だったから、あと200及ばなかった」

主任はそれでも笑っていた。

「1800ってすごいですよ。絶対伝説になります」

沙也香ちゃんも興奮している。

「悪い方でも伝説になりそうだな。本社の在庫空にしたとか、工場のラインをストップさせたとか…」
「あはは…本当、それは伝説になりますね」

そんな話をしていたら、大野さんが起きてきた。

「どうだったんですか?」
「無事に1800納品完了だって」

微笑む私たちに「よし」とガッツポーズを作って答えた。
まだ眠たそうなのに握りこぶしに無駄に力が入っていて……それだけ一生懸命だったってことだよね。

「大野。お疲れだったな。今日はゆっくり休めと課長からの伝言だ」
「南主任はどうされるんですか?」
「俺はもう少し詳しい数字の把握がしたい」
「俺も手伝います」
「わかった。あと少し休憩してからにしよう。佐々木、堀。あとは任せていいか?」

「はい」と私たちが答えると、
「第一会議室にいる」
二人でほとんど物置になっている大きめの会議室に向かって行った。
< 96 / 309 >

この作品をシェア

pagetop