侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
「君の事だから『どうして同じベッドで眠る事になりましたの!?』とか何とか言いそうだから、先に教えてやると、一人で寝かせた後にリバースして、万が一戻したモノで喉詰まらせて死なれでもしたら大変だから、特別に僕のベッドで添い寝をしてやったんだ。君だって寝ゲロで死にたくは無いだろう?」
と、意地悪くのたまいました。

こ、此処はレイモンド様の寝室なのね。
次々明かされる事実に、背中から冷たい汗が流れます。

「それで君、僕を抱き枕か何かと勘違いして、足を絡めてぎゅうぎゅうしがみ付いてくるものだから……その。僕は、良いのかちゃんと確認したぞ。君がこくんと頷いたんだからな」

レイモンド様は顔を赤らめながらおっしゃいましたが、私の方が遥かに恥ずかし過ぎて、紅玉よりも真っ赤なはずです。

くぅぅ……それにしてもレイモンドぉぉ、酔っ払いの同意なんて1ミクロンたりとも信用出来ないって、ちょっと考えりゃ分かるだろー!! 

はぁぁ、全ては自業自得、責任転嫁はいけませんが……でもどうして……

「こ、この期に及んでなんですが、寝ゲ〇死する可能性なんて相当低かったのですから、別部屋で寝させて下されば」

ブツブツと往生際の悪い私に、レイモンド様は棘のある視線と声を向けられました。

「君、未だ言うか!? ホストはゲストの安全を最優先しなければならない、どんな小さな懸念も見過ごすわけには行かないのだ!」

侯爵様のおっしゃる通りでございます。

自分の愚かさにカンパーイ! 
そっちじゃなくて、ことごとく論破されて完敗です。
しゅん

あぁぁ、時計の針を巻き戻せたら……

うな垂れながらそんなどうしようもないことを考えていると、今後の事だが、と静かな声が頭の上から降ってきました。
顔を上げるとレイモンド様は私と視線を合わせ、
「こうなったからには責任はとってやる」
居丈高な声で言ったのです。

えっ? 何の事なのか分からずハト豆顔の私に対し、レイモンド様は顔を赤らめられつつ、顎を上げ不遜な表情でおっしゃったのです。

「仕方がないから君と結婚してやると言っているんだ!!」

「はいーーーっ!?」
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