侯爵様のユウウツ 成金令嬢(←たまに毒舌)は秀麗伯爵がお好き?
馬術障害物レース

エセルsaido1

三十頭近い馬がスタート地点に並びました。
騎乗する皆さんの精悍さと相まって、息を飲むほどに勇壮です。

「レイモンド様~」
「アンドリュー様~」
「ウィザーク様~」

黄色やピンクの甘~い声が、競技場のあちらこちらから響いています。
やはりレイモンド様の人気はダントツです。

何処が良いんだか。
ああ、顔ですね家柄ですね、腐っても侯爵だからですね。
ほほほ……しゅん

大っ嫌いと言っといてなんですが、彼に嫌われていたことや、お金目当てでプロポーズしていたと知り、かなりがっかりしている自分に驚いています。

考えてみれば、たかが平民の小娘の純潔散らしたくらいで、侯爵様が責任取るなんて有り得ません。
こんなにモテるんですもの、今までだってそういう事あったでしょうし……、そうそう『女性の裸なんて見飽きてる』って言ってましたもんね。
でも今だに結婚してないって事は、責任なんて取ってこなかったって証拠です。 

さっきは『正当な理由がある』とかカッコつけて言うから、ギョッとしつつ何をしゃべるのかと思えば、いけしゃあしゃあと借金返さなくて良いから結婚するって? え、それ正当な理由ですか? 

まあ、『大っ嫌い』や『ナメクジ』発言、プロポーズへのお断りへの罪悪感は完全に消えましたから、良いと言えば良いのですが。

あ、アンディーが、私に向かって微笑しながら少し手を挙げました。
釣られて思わずにっこり。

それにしても葦毛の馬に跨るアンディーの何て素敵なこと。
爽やかで堂々としていて、下界に降りた軍神マルスのよう……。イメージですのよイメージ。
思わずうっとり見とれてしまいます。

でもそう言えばさっきのキスは濃厚でしたが、何だかフレッドにお休みのキスをする時のような感じでした。
もちろん弟とは濃厚なキスなんてしませんが……、レイモンド様とのキスのようにはときめかなかったと言うか。

まあレイモンド様が傍にいましたからね、集中できなかっただけかも……。
やだ、私ったらはしたない。

ふと視線をさ迷わせると、あわわっ、レイモンド様と目が合いました。
ずっとこっちを見てた? 違う……わよね? 
急いで斜め上につーんと顔を背けましたが、レイモンド様が目を見開いたのは視界に入ってます。

そしてその直後、大きなフラッグが振られレースが始まったのでした。

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