御曹司のとろ甘な独占愛
　今日が過ぎれば、明日はいよいよ貴賓翡翠本社へ初出勤だ。


　着陸態勢に入っていた飛行機が徐々に地面へ近づき滑走路へ降りると、着陸の衝撃が座席に伝わった。

「皆様、この飛行機は台湾桃園国際空港へ到着致しました。現地時刻は十四時三十分。天候は晴れ。気温は摂氏二十七度でございます。安全のため、機体が完全に停止し、頭上のベルト着用サインが消えるまで、座席にお座りのままでお待ち下さい」

　アナウンスが流れて、機内が明るくなる。

　ベルト着用のサインが消えると、そこかしこからベルトを外す音が聞こえ、周囲の座席の人々が一斉に立ち上がり出した。

「本日は当エアラインをご利用頂き、誠にありがとうございました。皆様この先もお気を付けて、素敵な一日をお過ごし下さい」

　これからの旅を彩るようなアナウンスにワクワクする気持ちが膨らみ、一花は口元を綻ばせる。

「さーて、いよいよだ！」

　大きく背伸びをして、一歩を踏み出した。
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