御曹司のとろ甘な独占愛
「ええええ!? ……ま、まあクラフツマンって、ちょっとお給料もらいすぎじゃない? とか、販売員との格差社会すごすぎる……とか思ってなかったと言ったら嘘になるというか……! でも、まさか伯睿が副社長……!!」

「貴賓翡翠は約百五十年間、代々劉家が経営しているので。俺もその跡を継いだだけです。勿論、自分の意志で継いだんですが」

 伯睿はそんな一花を見ながら、くすくすと肩を揺らして笑っている。

(こんなに格好良くて、優しくて、麗しの王子様みたいな人が、さらに貴賓翡翠の御曹司で副社長だなんて……! ハイスペック過ぎるでしょう……っ!)

 伯睿の買い物の仕方が普通ではないことは昨日見ていたし、高級マンションでの贅沢な暮らしぶりにも、「凄すぎる、伯睿って何者……?」なんて思ってはいたものの。
 まさかこんなに平凡な自分の近くに、御曹司で副社長なんて人が現れるとは思ってもいなかったのだ。

 一花は未だ信じられない様子で、伯睿を見上げる。

「驚きました? でも、貴賓翡翠のサイトを調べたら書いてありますよ」

「えっ!? そんなことは……」

 就職活動の時にちゃんと調べたもん……! と一花は急いで、タブレットを使って検索をかける。

「ほらっ! サイトには、ヴォルェイ・リウって人が副社長って書いてある! ハクエイ・リュウって書いてないでしょ!」

「はははっ。本当だ」

 伯睿は一花が得意満面に見せていたタブレットを彼女の手から抜き取ると、サイトの言語を選択して、繁体字に変更する。

「日本貴賓翡翠ではカタカナ表記だったなんて、思ってもみなかったな」 

 すると、副社長の名前が繁体字で表示された。――劉伯睿。

「あ……」

(こんなに近くに、彼に辿り着くためのヒントがあったなんて……)

 一花は唖然として伯睿を見上げる。

「俺の名前の『日本語読み』はお祖父様が名付けたって、言ったでしょう?」
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