不誠実なカラダ
私は、部長の腕を勢いよく払った。

「高杉?」


胸が痛い。

部長も尚太も、心を好きになる。

私を選んでくれない。


「今、泣いてるのは……悲しいからか?」

部長に言われて、ハッとした。

そう。

私の目から、涙が流れているのだ。

「違います!」

私は、思いっきり否定した。

「口惜しいのよ!」

はっきり言葉にすると、余計口惜しさが込み上げてくる。

「みんなみんな、心、心って……」

部長に背中を向けて、私は泣き叫んだ。

「私は、心の代わりなんかじゃない!」


すると後ろから、部長が抱きしめてくれた。

「悪かった。」

いつもの釈明。

部長は、女に責められると、直ぐに謝る。

「高杉を抱いている時は、他の女なんて、一切考えているつもりはなかったんだが……」

「えっ?」

私は振り返って、部長を見上げた。


今、何て言った?

心を、他の女って言った?
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