妄想は甘くない
「ごめん……俺あんまり余裕ない……」
そう告げた顔に手を伸ばすと僅かに焦燥の色を現していて、心臓が締め付けられる。
「……抱いて……」
またしても自分の唇から零れた言葉に驚いたけれど、目は逸らさなかった。
「……あっ……」
覆い被さる人の体温を感じていたくて、骨張った背中にしがみつく。
初めての時でも然して感じなかったが、それ以上に痛みはなく、ただただ彼と繋がっている幸せを噛み締めていた。
「……もう、離さないから……」
わたしの上で動き続けながらも、苦しそうに歪められた顔には汗が浮かんでいる。
「離さないで……」
じっと視線を合わせたまま、顔を引き寄せると指先に感じる雫に一層愛しさが募り、唇を重ねた。
下腹部から競り上がるような熱を感じ取ると、堪らずシーツをきつく握り締める。
「好き……っ」
涙の滲んでしまった目元で流し見ると、色香漂う瞳を細めて耳元で囁いた。
「俺も好きだよ」