配信教室
「エイト、ちょっといいか?」


鞄を下ろしたエイトにそう声をかけると「なんだよ朝っぱらから」と、しかめっ面をされた。


登校してからホームルームまでの時間は貴重なのだと、エイトは前から言っていた。


だけど俺は単純にやっていない課題を誰かにうつさせてもらうための時間だと、気が付いていた。


俺は渋っているエイトの腕を掴んで廊下へ出た。


まだ生徒の人数は少ない。


「この前途中まで話した《マッドマン・ムービー》のことだけど」


そう切り出すと、エイトは急に黙り込んだ。


視線を合わせないようにうつむく。


「お前、投稿してるよな?」


単刀直入に質問すると、エイトがユルユルと顔をあげた。


その顔は笑ったように歪んでいる。


「……あぁ。バレた?」
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