配信教室
甘い香り
俺は甘い香りで目を覚ました。


おちつく、シャンプーの香りだ。


「池田……先生」


顔を巡らせてそう声に出すと、椅子に座っていた池田先生がこちらへ振り向いた。


ここは学校の保健室じゃない。


合宿所の保健室だ。


「気が付いた? 大丈夫?」


「……大丈夫です」


少し頭が痛むけれど、それ以外に気になるところはない。


徐々に記憶が蘇ってきて、俺は自分の手で準也を刺したことを思い出した。


「俺、準也を……」


「大丈夫よ。すぐに救急車を呼んだからきっと助かるから」


池田先生は泣きそうな顔でそう言った。


「でも俺は準也を刺したんですよね?」


そう確認すると、池田先生は小さく頷いた。


「だけど大丈夫。食堂で何があったのか沢山の生徒たちが見てるんだから、萩野君は正当防衛よ」


そう言って、池田先生は俺の頭をなでた。
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