配信教室
「あの、よかったら本屋に行かない?」


「本屋?」


「うん。澪、言ってたじゃん。ラストがわからな本が好きだって」


その言葉に俺の心臓はドクンッと高鳴った。


沙希は俺に本を紹介してほしがっているのだ。


放課後の時間は開いているし、それくらいならいくらでも付き合ってやれる。


けれど俺の視線は沙希の細くて白い首筋へと向いていた。


その首筋に歯を立てて皮膚を噛み千切ったらどうなるだろうか。


咄嗟にそんな事を考えてしまっていた。


自分の思考回路にブンブンと強く首を振った。


「あ、ダメだった……?」


勘違いをした沙希にそう聞かれても、俺は否定できなかった。
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