配信教室
「ねぇ、いつまでここにいるの? 早く外へ出た方がいいと思うんだけど」


そう言ったのは沙希だった。


「外には出れない。この建物は隔離されてるんだ」


俺がそう言うと、「隔離?」と、沙希が驚いた声を上げた。


「そうだ。建物の鍵もない。外へ出るなら窓から飛び降りるしかないんだ」


自分たちが望んだ空間のハズだった。


こうすればいい動画が撮れると喜んでいたはずだった。


それが今、自分たちの命を脅かすものに変化している。


「そんな……」


沙希が青ざめて俯いた。


「だけど逃げるしかないよな」


そう言ったのはエイトだった。


「本気?」


立花が聞く。


立花はまだ撮影することにこだわっているようだ。


でも、今更撮影しても遅い。


監視カメラの映像はすでに《マッドマン・ムービー》に投稿されているだろうから。
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