配信教室
母親が持つ、中身の入っていないエコバッグを連想させて笑ってしまう。


非日常的な動画を見ながら日常とつなげてしまう自分に少しだけ驚いた。


俺にとって残酷な動画はそれほど身近なものだということだ。


画面上のカエルがピクリとも動かなくなり、男はそれに火をつけた。


動画はそこで終わっていた。


動画を見終えた俺は大きく息を吐き出した。


それは長編小説を一気に読み終えた時のような満足感だった。


どっぷりとその世界にのめり込むことができたし、現実世界の喧騒も聞こえなくなっていた。


俺は目を閉じて、もう1度さっき見た動画を思い出して行った。


それは良い物語を反復するのと全く同じ作業だった。


俺は良いグロ動画を見て、それに酔いしれていたのだった。
< 4 / 225 >

この作品をシェア

pagetop