配信教室
☆☆☆

その後、俺は教室へ戻ることもなく放課後を迎えていた。


昼休憩中に一旦教室へ戻ろうかとも思ったけれど、エイトたちに引き止められるか
もしれないと思うと、動く事ができなかった。


池田先生は1日ここでサボっていた俺に呆れた顔をしたものの、何も言ってこなかった。


「澪!」


そんな声が聞こえてベッドから上半身を起こすと、怒った顔した沙希が立っていた。


その手には俺の鞄が握られている。


放課後になったからわざわざ持って来てくれたようだ。


「やっぱりここでずっとサボってたんでしょ」


沙希はまるで母親のような事を言う。


「あぁ。ちょっと、女子たちの腹黒さに疲弊してさ」


そう返事をして自分の鞄を受け取った。


沙希は少しだけ視線を伏せて「そんな子ばかりじゃないんだけどな」と、寂しそうに言った。


「わかってるよ。鞄、ありがとう」


俺はそう言うと、沙希と2人で保健室を出たのだった。
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