残り100日の私と大好きな君
「咲楽ちゃんっ!!」

意識を失った直後、大きな声で意識が戻った。

目を開けると、焦り顔の奏汰くん。

「咲楽ちゃん、大丈夫?とりあえず、ベッドに運ぶね」

奏汰くんの大きくて暖かい腕の中にすっぽり収まるように抱き抱えかれてベッドまで運ばれる。

「ごめんね…、僕がもっと早く止めてれば……体、すごい熱い…。やっぱり熱もあったんだね…………。今、看護師さん呼んであげるからね」

そう言ってナースコールを押そうとする奏汰くんの手を止めるように掴む。

「咲楽ちゃん?」

「……やだ………………押さないで…。今は………大人の人に…会いたくない……」

「…………そっか。」

私の言葉をちゃんと聞いてくれたのか、奏汰くんはナースコールを置いて、ベッドの隣の椅子に腰をかけた。

「大人の人が怖い?」

「……少し…」

「だよね……。あんな酷いことされたあとだもんね…」

悲しそうな顔で奏汰くんは何度も頭を撫でてくれる。

「でも、熱辛そうだから、看護師さんは呼ばないであげるから、もう寝な?僕、咲楽ちゃんが寝付くまでここで手を握っていてあげる。だから、安心して寝て?」

……コクン

それから、私は暖かい奏汰くんの手を握り返してから目を閉じた。

久しぶりに安心して眠れた日だった。
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