残り100日の私と大好きな君
その日から毎日、僕は咲楽ちゃんの所へ通い続けた。

少しでも咲楽ちゃんの助けになれたら…

その一心だった。

「咲楽ちゃん、おはよう」

僕の毎日は、こうやって咲楽ちゃんを起こす所から始まる。

僕が咲楽ちゃんの名前を呼ぶと、咲楽ちゃんはゆっくりと瞼を開ける。

それから、僕はもう一度名前を呼ぶ。

「おはよう、咲楽ちゃん」

すると、咲楽ちゃんは僕がいることを確信して、僕がいつも座るほうを向いて、少し微笑む。

「おは…よ……奏汰くん」

「今日の調子はどう?よく眠れた?」

問診…じゃないけど、調子を聞いて、僕はそれをあとで看護師さんに伝える。

「…………夜、少し…、何回……か……………目、覚め……ちゃった……」

「そっか、そっか。いつもより辛いところとか痛いところとかはある?」

「……んー、ちょっと…息…………苦しい……かも…」

「そっか。じゃあ、今日は無理に喋らない方がいいか…」

そう軽く自分にも咲楽ちゃんにも言い聞かせるように言ってから、咲楽ちゃんの頭を撫でる。

「じゃあ、今日も頑張ろうね。……薬、辛いかもしれないけど、少しずつ良くしていったら病室戻れるから。」

「うん。…………がん……ばるね…」

そう言って微笑む咲楽ちゃんの頭をまた撫でる。

すると、咲楽ちゃんは少し照れたように、でも嬉しそうに笑ってくれる。

この笑顔が見れると、安心する。

体調が悪い時は、この笑顔も見れないから。

早く、良くなってね。

早く、病室戻ろうね。

早く、病気治して、一緒にお出かけしようね。

そんな願いを込めて、いつも泣きそうになりながら、咲楽ちゃんの頭を撫でる。

お願いだから、咲楽ちゃんを助けてください…神様。
< 85 / 107 >

この作品をシェア

pagetop