それもまた一つの選択
2.攻めるが勝ちか、守るが勝ちか、それとも。

プライベートな話、突っ込まないで! - 遥 -

12月に入った。
街はクリスマス商戦で溢れかえっている。
それを見て、ああクリスマスだなあ、なんてボンヤリ考えていた。

去年はトキさんと高橋さんと3人でお昼にパーティーした。
二人が前日から徹夜で作ってくれたクリスマスメニュー、美味しかったなあ。
私が手伝うって言っても。
二人は必死に首を横に振っていた。

「遥、悪いが今回は二人だけで作る。失敗したくない」

って真顔でトキさんに言われた。

失敗したくない…。

それが結構ショックで夏休み、料理教室に行った理由の一つなんだけど。

前よりはマシになっているはず。



「一緒にご飯食べない?」

昼休み、一人でのんびりとお弁当を食べて、残りの時間は図書室にでも行こうと思ってたが。
平野さんが生野さんと私の前に来た。

「うん」

悟られないように微笑む。
生野さんは本当に苦手で。
グイグイと迫ってくる感覚がダメ。

3人で教室でお弁当を食べる事にした。

「今井さんってさ」

あ、その言い方…来た。

「彼氏と付き合ってどれくらい?」

生野さんがニヤニヤしながら私に聞く。

「…もうすぐ2年」

この冬が終われば2年。

「へえ、結構続いているのね~」

意外そうに言われたのでちょっと腹が立った。

「喧嘩はするほう?」

「しないけど…」

段々、嫌な予感がしてきた。
チラッと平野さんを見たけれど、平野さんはどうも天然で美味しそうにお弁当を食べながらニコニコと私と生野さんのやり取りを見ている。

「いいなあ、私なんて喧嘩ばっかり」

…へえ、生野さん。
彼氏いたんだ。

「どうしたら喧嘩しなくなる?」

「えっ?」

そんな事を言われても。
喧嘩なんて…今のところはない。
トキさんが我慢しているのかもしれないけれど。

「私、ずーっと喧嘩ばかりで。別の女の影もあるし」

何それ、怖い!!

「ここの大学の、経済学部にいるんだけど」

ちょっと、ホッとした。
トキさん、経営学部。

「一度、大学の中、行ってみたいなあ」

あのー。
そんな上目使い、しないで欲しいんですけど。

「明日、ランチ、大学の食堂に行かない?」

えー!!絶対に嫌!!
トキさんや高橋さんに見つかったら…何しに来たの?って絶対に言われる!!

「私、行きたい!!」

目を輝かせたのは平野さんだった。

「…うん」

そう言うしかなかった。
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