【完】『雪の都』

《2》


深雪の、わざとなのか分からないが空気を読まなさ加減に薫は困った。

それよりも。

驚いたのは大輔の態度であった。

深雪と彩に挟まれて座るようなかっこうになったにも関わらず、まるで他人事のように唐揚げをつまんで、しれっとした顔つきで酎ハイを空け、平然としているのである。

(これ修羅場やぞ)

明らかに修羅場である。

妻と愛人に挟まれて座って、堂々と酒をあおるというだけでも、相当な豪傑ではないか。

そこは桜子も同感であったようで、

「あの大輔さんって人、ある意味すごいよね」

と帰りに薫に語ったぐらいであるから、桜子も内心は大輔の、無神経とも取れるような言動に、くそ度胸の据わった人間性を感じたのかも分からない。



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