囚われの雑草姫と美麗冷酷男子の生活
混乱のパーティー
囚われたまま時は数ヶ月穏やかに過ぎていき

偽物の婚約者期間も間もなく終わろうとしていた

跡継ぎになるためについては…解決で、正式に発表になることになったのだ

今日はそのお披露目会

いつものように水色の部屋で目覚めた私は
彰貴さんの腕から抜け出して朝食の準備をする

今日はパーティーだから…朝はあっさりしたものがいいかな…

仕上げていると彰貴さんが欠伸をしながら降りてくる

「おはよ…那寿奈…ん?今日はこれ…何?」

プカプカとお鍋に浮くつみれが気になったようで彰貴さんが覗き込んだ

「お早うございます彰貴さん…これは豆乳つみれです」

「豆乳のつみれ?」

「お豆腐みたいな食感であっさりしていて美味しいですよ?」

先日リュミエールのコックさんたちが賄いに作ってくれたのを真似してみたのだ

「ああ、楽しみ……可愛い…」

「…ん…可愛くないです…」

「可愛いよ…」

チュとリップ音を立てながら私の首筋に口付けると彰貴さんがご飯を二人分茶碗に盛って、出来上がっているものも運んで席についた

向かいあっていただきますと挨拶をして二人で食べる

すっかりこのペースが自然になっていた

忙しい彰貴さんも朝だけは二人で居られるから
この時間は貴重な時間だった














朝食を食べながら彰貴さんが今日の話を始めた


「今日のドレスだけど…
ホテルのブライダルサロンに届けてあるから
そこで着替えて整ったら呼び出して欲しい、すぐにオレが迎えに行くから」

「え?会場まで1人で行けます…よ?」

彰貴さんを待たせるなんて気が引ける…
そう思って断ろうとすると

「あのさぁ…跡継ぎ御披露目は婚約者も御披露目だよ?…エスコートしなきゃ変だろう?
甘えなさいそれくらい…それに何より」

「は、い?」

(な、なんだろう…)

「可愛い格好した那寿奈を一番にオレが見ないなんて許せないもん」

「…!?」

(…も、もん…って…何ですかその尖らせた口は!)

「分かった?」

綺麗な黒色のアーモンド型の目が真っ直ぐに私を見るから射ぬかれて否定なんて出来ない…

「は、はい…ではお呼びしますね…」

「良い子だ…」

席を立ちながら頭を撫でて行く

頭にじんわりと彰貴さんの熱が伝わり…顔が熱くなる

最近の彰貴さんは私に接する態度が甘くて
どうにも擽ったい






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