誓いのキスを何度でも
その夜。

誠太郎が少し不機嫌に自分の部屋のベッドで眠った後、私達は寝室の真新しいダブルベッドで抱き合った。

やっぱり、ダブルベッドはいいな。
身体が痛くならないし…な。
とか、誠一は呟くように私に言っているけど、
敷布団からはみ出してまで、色々するのは誠一だし…

と少し思いながら、上目遣いで見上げると
「果歩、まだ、足りなかった?」

とか言って私の唇を塞ぐ。
もう、動けませんけど…と言いたいのに、
すっかり誠一のスイッチが入ってしまったみたいだ。

柔らかいくちづけは次第に熱を帯び、
また、誠一の身体の下で甘い声が出てしまい、
ベッドの上で溶かされ、深い快楽に落ちて行った。

翌朝、目覚めると、誠一はもう起き出していて、コーヒーを淹れていた。


私が気怠い身体にパジャマをきて、

「おはよう」と挨拶しながらそっと頬に唇を付けると、

「やっぱり、毎日『おはよう』って挨拶したいな。
果歩は誠太郎に俺とのことをなんて説明したらいいのかとか、…俺の子どもだってわかったら、桜庭の両親が何をするかわからないって思って、
俺の子どもだと周りに知られたくないんだと思うんだけど…
俺も…今まで、木下さん以外には言ってないんだけど…
誠太郎と親父に会ってきていいかな?
孫の顔を見せずに、別れていっても…って思うし、
俺は誠太郎と果歩と家族になる。ってハッキリ言って
桜花グループは継がないけど、次の後継者が決まるまで、相談には乗るって言おうと思う。
許されても、許されなくても
それでお終いにしよう。
それで、こっちでちゃんと働く。

果歩、結婚してください。
留学する前も誓ったと思うけど、
俺は果歩をずっと愛すると誓うよ。
俺は果歩と誠太郎と生きていく。
どんな事があっても、大丈夫だよ。
お互いに深く愛し合ってるってわかってるから…」

と私の顔をみて、真剣な声を出す。

「はい」

と私は泣き笑いの顔で頷く。



誰に反対されても、

遠く離れても、

私達は愛し合っていた。

いままでも

これからも 、ずっと…。



もし、誠一の自信に満ちた今の言葉を信じる事が出来ないとしたら、

私は誰の言葉を信じるのだろう。


私は素直な気持ちで何度も頷き、誠一の胸に顔を埋めた。






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