誓いのキスを何度でも
果歩が看護師として勤める東野記念病院は地元の東野家によって創立された中規模な総合病院で

僕は生後6ヶ月からこの病院の近くの指定された保育園に入っていて
果歩が夜勤の時もそこで過ごすことができるし、
病気になれば院内の病児保育室で果歩の帰りを待つことができる。

まあ、小学生になるからもうすぐ利用できなくなるけれども…



すこし走ると車の中から僕のお気に入りの大きな川が流れているのが見えてくる。


ここは東京駅から2本電車を乗り換えてやっとたどり着く
すこし田舎の地方都市。

田舎といっても駅ビルや、大型の商業施設も駅前にあって
駅前は足早に歩くスーツ姿の人や、学生やお年寄りもたくさん歩いている。

果歩の生まれ育った街。

看護師になりたての頃は東京で働いていたと言っていたけど…
セイちゃんをのんびりしたところで育てたかったの。
ということらしい。


大きな川の川沿いには広い公園やジョギングコースがあって
週末には野球場やサッカー場で賑やかな声が聞こえている。
ここの少年サッカーチームのコーチは果歩の看護師のナナコ先輩のお兄さんがやっていて、
小学校に上がったら、果歩は土日が休みになるからサッカーチームに入ってもいい。って言われている。
今からすごく楽しみだ。


赤い小さな果歩の車が保育園の手前でキュッと止まると、
僕は果歩と手を繋いで飛び跳ねながら保育園に向かった。



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