幾千夜、花が散るとも
1章
 あたしには。ハタチから年に5回だけ特別な日がある。

 12月25日、2月14日、3月14日、4月12日、9月8日。クリスマス、バレンタイン、ホワイトデー、自分の誕生日、千也(せんや)の誕生日。
 数字で並べてみると12月から4月の間が立て続けで固まっちゃってるけど、こればっかりはしょうがない。
 この日だけはね。千也があたしの望みを叶えてくれる特別な約束の日。あたしがそれをどんだけ心待ちにしてるかなんて。千也は知ってていつも訊く。

『いいよ。カナが欲しいモノ何でもあげる』

 だからあたしの答えもいつも同じ。20歳になった誕生日から1回もブレることなく。

『じゃあ千也をもらうね』



 
 あの日から。あたしが千也を貰えるのは、千也が欲しいものを訊いてくれる5回だけ。365日のうち、たったそれだけ。
 でもいいの。それだけだっていい。毎日もらえなくたって、一緒に暮らしててずっと傍にいて。いっぱい甘やかされて愛されてて。

 あたしと千也はカミサマに永遠が赦されてるんだよ。たとえ地球に隕石が落ちて人類が滅亡してもあたし達はね。
 だって。北原可南子(きたはら かなこ)と北原千也(きたはら せんや)は、誰が文句の付けようもない紛れもない兄妹なんだから。




< 1 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop