幾千夜、花が散るとも
目を閉じて、天を仰ぐ。青い空を見ても、醜い心は洗われたりなんかしない。今も嫉妬で狂いそうだよ可南。『ほら、やっぱり帰ってきただろ』なんて言ってやれそうにないんだ。

カッターナイフで細く切られたみたいに、心臓がジクジクと痛む。これからもっと膿んで治らない。耐えられそうにない。俺はどうすればいいの可南。

可南を千也に渡したくない。
可南を泣かせたくない。
可南。
可南。
俺の可南。

こんなに愛してるのに。可南は千也じゃなきゃ駄目なんだろ。俺じゃ足りないんだろ。なんで。どうして。千也がいなくなれば、俺だけ見てくれるの。千也を忘れてくれるの、可南・・・!

真っ黒い感情が腹の底から俺を冒してく。
流れる血まで腐ってく。




千也。一生のお願いだから、俺の為に死んでくれる?

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