幾千夜、花が散るとも
 気が付いたら三年だ。
 子育てに日々を追われても。夜になって子供達を寝かしつけたあと、一也に抱かれれば千也が恋しくなる。忘れても無ければ、帰りを待つのを諦めてもない。あたしにとって千也は今でも最愛の男。

 1年くらい前にマキノっていう警察官がもう一度訪れて、出国記録があったと教えてくれた。管轄外の事だとそれ以上は口を割ってもらえなかったけど、海外の可能性が高い、とその人はそれだけを言って帰った。

 初めての手がかりらしい手がかりだった。探しようもない現実に違いは無かったけど。ずい分と後になって、その情報はあの中根由里子さんがリークしたものだったと知った。


 
 十也も莉奈も一也も。愛おしいあたしの宝物。
 それでも。

 ・・・それでも。
 
 欠けたものは埋まらない。代えにはならない。
 あたしのたった一人を取り戻すまで。


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