天神学園のお忍びな面々
そんな中、無言のままで弁当を食べていた甲斐が。

「授業中の怠慢を指摘し、昼食時には手製の弁当を持ってきて振る舞う…エレナ殿は、出来た女性なのだな。女性の嗜みも武芸も備えた貴女は、実に好感が持てる」

シレッと、そんな事をのたまう。

コイツ馬鹿だからさあ、こういう恥ずかしい事を恥ずかしげもなく言っちゃうんだよ。

だもんで。

「っっっっっ…」

ぼぼぼぼぼ…と。

エレナが顔を赤くする。

「あ、あ、赤道着!貴方名前を名乗るのですわっ!」

「これは失礼した。ヒノモト勅使河原将軍家ご息女・美緒様の護衛、甲斐という」

「甲斐!甲斐ね!甲斐なのねっ!その名、しかと覚えたのですわっ!」

エレナは一の重を、丸ごと甲斐に差し出す。

「このおむすびも悪くないと思うのですわっ、食べるとよいのですわっ」

チョロイな、エレナ。

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