天神学園のお忍びな面々
「リューク、お父様の件は私からお詫びしますです」

エレナがリュークに告げる。

「俺は構わないが…その、見合いの話というのは」

そう、それだ。

その場にいた仲間達が、全員エレナを注視する。

「お父様やお母様が、勝手に言い出した事です。まぁ、いい男ならば考えない事もないですがっ」

こっち見んなとばかりに視線を逸らしながら、エレナはおどける。

「……」

きゅっ、と。

白雪がエレナの着物の袖を引っ張る。

「大丈夫ですよっ」

エレナは白雪の髪を、くしゃっと撫でる。

「お父様もお母様も、私の意に反するようなお見合いはさせないですっ。大正乙女は、政略結婚などしないのですっ」

いつでも凛とした大正乙女は、そう言って胸を張った。

< 572 / 760 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop