One Night Lover
虚しさを埋めるには
今、健が藤ヶ瀬の部屋に入って
今後の仕事の打ち合わせをしている。

華乃はその間ずっと落ち着かなかった。

「池田さん、部長が呼んでます。」

華乃は部長室に入ると
2人の男が並んでいる。

どちらとも華乃を見て
それぞれ違う反応をした。

健は華乃を疑ったままで、
今も少し無愛想だ。

そして藤ヶ瀬は華乃を見て
健の反応を見ている。

華乃が健の隣に座って顔を上げると
藤ヶ瀬がジッと華乃を見つめていた。

その視線に健が気づくと健は健で藤ヶ瀬に見つめられた華乃の反応見る。

華乃は居心地が悪くて部屋を飛び出したくなる。

《お前のことが気になる》

藤ヶ瀬のその言葉が今も頭から離れなかった。

その中で藤ヶ瀬は淡々と仕事の話を始めた。

打ち合わせが終わると健が華乃を呼び出した。

「今夜、少し話そう。」

それが別れ話なのか
それとも修復の話なのか華乃には見当がつかない。

健はずっと不機嫌で
華乃はそんな健の態度に疲れていた。

でも本当は今の華乃にとって健の存在が疎ましいのだ。

華乃は自分の気持ちを隠す為に
健が不機嫌だから自分の気持ちが離れるのだと
健のせいにしている。

本当はずっと藤ヶ瀬のあの言葉が華乃の気持ちを揺さぶっていて、
華乃の気持ちは藤ヶ瀬に大きく傾いていた。




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