イケメンエリート、愛に跪く



舟はそんな事は何も覚えていない。


「でも、その頃の言葉と大人になった今の言葉とは、中身が全然違うよ…」


舟はソファに腰かけている愛の隣に座り、無意識に愛の髪を触り横の髪を耳に掛けた。


「今の言葉は、28歳の大人の男が言う言葉だよ…
色んな意味が含まれている。
ただ単純に好きな気持ちだけじゃない…」


もう外は夜の景色に変わっている。
社長室から見える東京の夜景は、見る見る内に灯りの色が増えていく。

愛は舟のすずし気な目元をジッと見ていた。
二重の大きな目は切れ長のせいか、いつも涼し気に見える。
整った鼻も上品な口も、子供の頃と何も変わっていないのに、でも、大人になった舟の顔は完全な男の顔だった。
もう私が守っていた幼い顔の舟君じゃない。


「でも、私にとっては、私が大切に守っていた舟君と一緒だよ…
それは、大人になっても変わらない…」


舟は愛の左頬に右手を当てて、優しくキスをする。


「僕は歓迎会なんて出たくない…
愛ちゃんと二人っきりで居たい… いいだろ…?」


愛はすぐに舟から体を離した。


「舟君、それはダメ…
ここは日本なの。
舟君のための歓迎会なんだから、ちゃんと参加しなきゃ」


舟はクスッと笑った。
やっぱり僕の愛ちゃんはあの頃と何も変わらない…




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