ほら、笑って
男の子は大人しくなるどころか、益々大声で泣きだす。



『…いっ、いないないばぁ!』




この男の子がそんな歳ではないことは分かっていたがあやす方法が分からなくて仕方なくいないいないばぁをする。




「うっ………うわぁぁーん!うわーん!わぁぁ!」




俺のいないいないばぁ!を見て一瞬泣き止んだかと思えばもっと大きく泣き出してしまった。




『くそっ、どうすればいいんだよ…』




こんな時、あいつがいてくれれば…




俺は頭の中で小夏がこの男の子をあやす光景を思い浮かべる。




…小夏ならどうするかな。




俺は少しだけ考えて男の子に話しかけてみる。




『なぁ、名前は?』




俺に話しかけられて男の子は泣き止んで鼻水をすすりながら小さく「秋夜…。」と答えた。




『秋夜か!かっこいいな!』




俺は秋夜の頭に手を当ててそう言った。




秋夜は大きな目をぱちくりさせてしばらくしてうん!と大きく頷いて笑う。



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