お気の毒さま、今日から君は俺の妻

 結婚式当日の朝は本当に天気に恵まれた。四月に入ったばかりでちょうど桜が咲き始め、神社の境内は薄桃色の花びらが舞っており、誰もが「本当にいいお天気でよかったですね」と微笑みあった。

 静粛な雰囲気の中、粛々と式は進んでいくが、俺はずっと隣にいる彼女だけを見つめていた。


「――今日のよき日に、○×神宮の大御前において私達は結婚式を挙げます」


 三三九度の盃を終え、指輪の交換をし、俺が誓詞奏上を読み上げ始めると、右隣に立っていた彼女が緊張したように気を飲む気配がした。

 こっそり盗み見ると、緊張しているのだろうか……彼女の庇のように黒く長いまつ毛の先が震えていた。
 神前結婚式にしたいと言ったのは、彼女の方だった。

 当然かなえてやるつもりだったが、なぜ神前なのか知りたくて理由を尋ねると、

『亡くなった母の白無垢が着たいんです。でもお披露目を兼ねて、ホテルで披露宴をするのでしょうか』

 と不安そうに尋ねられた。


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